入門講座 検査測定/評価・6
ADL
小林 武
1
Kobayashi Takeshi
1
1東北文化学園大学医療福祉学部リハビリテーション学科
pp.1011-1019
発行日 2007年12月15日
Published Date 2007/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551101081
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はじめに
日常生活活動(activities of daily living:ADL)とは,個人が毎日の生活を送る上で基本的に必要な動作(活動)をいう1).リハビリテーション医療の目標は,対象者のADLをそれぞれの生活環境に再適応させることであり,国際生活機能分類(International Classification of Functioning, Disability and Health:ICF)の構成要素でいえば「活動と参加」を推進することに他ならない.
ICFの「活動と参加」は健康状態に関するある領域の構成概念であり,それらの適応状態は直接測定して数量化できるものではない.しかし,対象者の「活動と参加」の推進をリハビリテーション医療の目標とするならば,それらの状態を比較することで介入効果の検証を行わなくてはならない.よって,何らかの手続きや基準を設けることで,直接測れないものをある数量や順序として表すこと,すなわち操作的定義が必要となる.ADLの諸動作・活動の実行状況を観察し,自立度によって重み付けした点数で採点・集計する手法は,種々のADL評価尺度が採用している方法である.リハビリテーション医療では,それらによって点数化されたものをADLの実行状況として,「活動と参加」の多くの部分を表す指標であると操作的に定義し,使用してきた.
本稿では,理学療法士の行うADL評価のポイントとADL評価尺度の説明,そしてそれらの具体例について概説する.
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