特集 医療保険・介護保険と理学療法
診療報酬改定後の大学病院の理学療法
木村 雅彦
1
Kimura Masahiko
1
1杏林大学医学部付属病院リハビリテーション室
pp.187-191
発行日 2003年3月1日
Published Date 2003/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551100788
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医療費の強力な抑制を狙った平成14年4月の診療報酬改定は制度発足以来のマイナス改定を断行した.リハビリテーション(リハ)医療の位置づけは急性期・回復期に整理され,抜本的な体系や算定要件の変更は臨床に大きな衝撃をもたらした.しかしこの改定はより長期的な医療行政戦略の中で生まれたものであり,単に今回の衝撃にとどまらずその背景を理解し,今後のさらなる変革と理学療法(PT)の展望について検討することが必要である.本稿では大学病院,特に特定機能病院に求められるリハ医療とPTについて述べる.
医療保険制度と平成14年診療報酬改定1,2)
わが国の医療制度は,すべての国民が公的医療保険に加入している国民皆保険体制,希望する医療がすぐ受けられ費用は保険組合などから医療機関に支払われる現物給付方式,自由に医療機関を選ぶことができるフリーアクセスの3点にあり,2000年の世界保健機関(WHO)世界保健報告では世界第1位と高く評価された一方で,急速な高齢化と経済成長率の低迷からくる保険料収入の伸び悩みや老人保健拠出金負担などによる医療保険財政の赤字幅は,さらに拡大が予想されている.
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