特集 検証 平成18年診療報酬改定
【事例】
診療報酬改定の高齢者専門病院への影響
安藤 高朗
1
1医療法人社団永生会永生病院
pp.1003-1006
発行日 2006年12月1日
Published Date 2006/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541100430
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18年度の診療報酬改定は,3.16%のマイナス改定となった.特に,長期入院の是正を「効率的な対応」として慢性期入院医療の大幅な見直しが行われた.その手法が「医療区分」による入院患者の評価である.この「医療区分」導入は,内容の周知を図るために7月実施となり,4月の試算では病院全体で-5.50%(4月実績-3.36%)であったが(表1-1),医療療養病棟においては4月実績は-3.90%となった.7月の医療区分を当てはめた試算では,なんと-24.44%のダウンであったが,9月実績では-16.84%となった(入院基本料は-18.60%:表1-2).この時点での医療区分状況は,「医療区分1」が66.0%,「医療区分2,3」が34.0%であった(表2).
当院には医療療養病棟のほかに障害者施設等入院基本料を算定する一般病棟,介護療養病棟もあり,それらの患者の医療区分を再度調査し,医療療養病床における「医療区分1」の患者と,介護療養病床やその他病棟で機能的に適する「医療区分2,3」の患者の移動を開始した.国は,「医療区分1」の患者は医療療養での入院を要せず,介護保険施設または在宅等での療養を勧めているが,思惑通りにはいかない.合併症を持つ高齢者はその状態が安定せず,観察が必要であり,同時に速やかな医療的対応を要する場合が多い.また,受け皿としての体制もまだまだ不十分な状況である.
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