主張
診療報酬改定と病院経営
N
pp.467
発行日 1990年6月1日
Published Date 1990/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541900654
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病院経営に大きな影響を与える診療報酬の改定が4月1日より実施された.今回改定の重点は,処方料・看護料・在宅医療に置かれており,長期入院の医学管理料を据え置き,老健施設への配分を強化している.その方向は評価に値するものと言える.更に,特例許可病院と癌末期治療病院に定額払いの制度を選択可能にしたことは,将来に向けての機能的分類化の一里塚とも考えられるが,個々の病院はその真意を充分検討する必要があろう.しかし,その一方で,薬価基準が大幅に引き下げられ,正味の値上がりは平均わずか1パーセント強である.特に汎用薬品の値下げ率が高く,その影響は大きいと覚悟しなければならない.
最近は,ほぼ2年に1回の診療報酬の改定が通例になっているが,病院の医業費用のほぼ50パーセントが人件費であることを考えると,最低,人事院勧告による公的病院職員の賃上げ相当分が診療報酬のアップによって保証されなければ,日本経済の好況を背景とした求人難は,医療法の求める病院の定員確保に暗い影を落とし,特に看護職員・介護職員の充足は困難になっている.医療法に定める人員確保を可能にするという観点からも,診療報酬の在り方に検討を加えてほしかった.
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