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近年の診療報酬改定に伴い入院期間の短縮が余儀なくされ,脳卒中片麻痺(片麻痺)に対しても長期間にわたる漫然とした治療は過去のものとなり,経済効果の面からも在院日数短縮が迫られている.しかし,それにより医療費が節減されても,医療サービスの質や量が低下し機能回復が抑制されたのでは意味がなく,限られた期間でいかに治療効率を高めるかが求められている.二木は効率を高める方法として生産効率と配分効率とに分類しているが1),医療行為での生産効率の向上(一つの医療行為,例えば1回の入院という生産過程で従来よりも短期間に従来と同じかそれ以上の効果をもたらす方法)としては専門病棟での多職種チームによるアプローチやクリニカルパスの導入,リハビリテーション(リハ)の早期介入などがあろう.早期介入リハの効果について,二木ら2)は脳卒中の早期群と発症後2か月でリハを開始した群とを比較し,早期群で在院日数が48%,医療費が39%それぞれ節減されたことを報告し,長澤3)も早期介入により目標歩行レベルの達成が早くなされ在院日数が短縮することを報告している.また,早期介入と並行して効率のよいリハを展開する目的で,脳卒中の重症度や合併症の有無などにより患者を層別化し,発症後早期の座位保持能力など歩行獲得に影響を与える因子の検討から早期より機能的予後予測を行い,群別の治療体系からなるクリニカルパスの検討も進められている.本稿では発症後早期に理学療法開始となった片麻痺の経時的な歩行推移と歩行獲得に影響を与える因子の検討を行うとともに片麻痺のバランス評価としてのBerg Balance Scale(BBS)の有用性および予後予測の可能性について述べる.
発症後の期間別歩行獲得割合の比較
当院入院の,発症から2週間以内に理学療法を開始した片麻痺患者で,3か月間経時的に評価が可能であった82名(男性51名,女性31名,平均年齢65.8±9.7歳)を対象とした.病型の内訳は脳梗塞54名,脳出血28名,麻痺側は右片麻痺43名,左片麻痺39名で,発症後2週の下肢Brunnstrom stage(Br-stage)はⅠ―11名,Ⅱ―14名,Ⅲ―8名,Ⅳ―15名,Ⅴ―21名,Ⅵ―13名であった.
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