特集 末梢循環障害と理学療法
虚血性潰瘍に対する物理療法
林 久恵
1
Hayashi Hisae
1
1名古屋大学医学部保健学科
pp.1007-1013
発行日 2006年12月1日
Published Date 2006/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551100698
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はじめに
虚血性潰瘍は,閉塞性動脈硬化症(ASO),バージャー病(TAO)にみられる動脈の狭窄および閉塞,糖尿病や血管炎を伴う膠原病(全身性エリテマトーデス,強皮症,リウマチなど)にみられる微小循環障害,または複数の要因による動脈血の不足によって生じる.虚血性潰瘍は下肢の末端に形成され,疼痛とあいまって活動制限を来すため,理学療法介入は潰瘍自体の治療と二次的障害の予防が目的となる.
虚血性潰瘍に対しては,内科的・外科的治療が「虚血症状の改善」「潰瘍治癒促進」の両側面から同時に行われる.理学療法は筋血流の需要を高めるような運動療法は控え,皮膚血流の改善を目的とした物理療法が主体となる.
本稿では,虚血性潰瘍の評価および内科的・外科的治療について「虚血」に関する事項を中心に述べ,理学療法介入として特に人工炭酸泉治療について自験例を提示しながら概説したい.
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