特集 保健医療計画における地域精神保健システム
障害者・家族からのアプローチ
滝沢 武久
1
Takehisa TAKIZAWA
1
1(財)全国精神障害者家族会連合会
pp.247-250
発行日 1992年4月15日
Published Date 1992/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401900555
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◆当事者運動の立場から日本の精神医療を考える
筆者は個人的に精神障害者の家族としての立場から,その精神医療,社会復帰,福祉についての技術やシステムを体験的に知るべく民間精神病院,保健所そして精神科リハビリテーション医療センターなどで13年半のソーシャルワーカー経歴を持った.折しも,昭和40年の精神衛生法改正が行われ,地域精神医療の合唱期に神奈川県内の三崎保健所勤務でスタートをきった.法改正による精神衛生相談員(医療社会事業員)として,文字どおり精神保健センターの研修を受け,保健婦さんと共に地域精神衛生活動展開に向けて訪問,相談,断酒会,カンファレンス(研修)等と,それなりに精力的に活動したものだ.
数年後,日本精神神経学会および地域精神医学会などでイデオロギーを含む論争や内ゲバ,果ては病院告発がある一方,実験的開放病院づくりなどもありながら,他方,行政内部の財政的事情という御都合主義で,生保患者が措置入院患者に切り替わるなど精神保健行政には適切な指針や先見性がないまま,単に精神病床増床と閉鎖病院長期収容という現在の病根の時代でもあった.振り返ってみると,このように技術やリハビリテーションサービスが伴わない場合,地域管理網という批判はあながち的外れではなかった.
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