特集 腰部・下肢関節疾患の理学療法―姿勢・動作の臨床的視点
腰部疾患に対する姿勢・動作の臨床的視点と理学療法―腰部脊柱管狭窄症に対する理学療法アプローチ
石井 美和子
1
Ishii Miwako
1
1フィジオセンター
pp.171-177
発行日 2006年3月1日
Published Date 2006/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551100264
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はじめに
社会の超高齢化が進み,慢性腰痛や下肢症状に悩み整形外科を受診する中高年者はますます増加している.それらの症状を訴える中高年者は,その大部分が実は腰部脊柱管狭窄症(以下,本症)であるといわれる.将来的に症状が進行する恐れさえあるにもかかわらず,日常生活にそれほど支障がなければ「加齢変化による症状」として認識され,具体的な解決策が明確に提示されていないのが現状である.
本症の病因は先天性と後天性に大別され,さらに原因疾患によって分類されるが,そのうち最も頻度が高いのが退行変性による変形性脊椎症,変性すべり症である.これらの疾患は,腰椎周辺組織の生理的加齢変化に加え,変性を惹起させるストレスが繰り返し加わった結果であると捉えられている.したがって,他の関節における退行変性疾患同様,日常の姿勢や動作に病態をつくりだした原因の多くが隠されている.理学療法分野においてはそれらに対してアプローチを展開することで,進行予防も含めた対応ができると考える.本稿では,退行変性による本症に特徴的な姿勢・動作を含めた障害構造と,それに対する理学療法アプローチについて述べたい.
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