講座 理学療法学教育における臨床技能試験―OSCEの適用と評価 2
理学療法士養成校における実技試験とOSCE
村瀬 政信
1
,
村上 忠洋
2
Murase Masanobu
1
1相生山病院リハビリテーション科
2中部リハビリテーション専門学校
pp.145-150
発行日 2006年2月1日
Published Date 2006/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551100257
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はじめに
近年,医学教育に加えて理学療法学教育においても,臨床能力を評価する客観的臨床能力試験(objective structured clinical examination;以下,OSCE)が注目されている.しかし,理学療法学教育においては,従来から臨床能力を習得することが重要視され,実技試験を用いて技術の評価が行われてきた.OSCEの特徴は,より客観的な実技試験であり,これにより医学教育では臨床実習前の資格試験である共用試験の一部として取り入れられるようになった.内山ら1)は,平成16年に理学療法士養成校を対象にしたアンケート調査より,OSCEは80%以上で概ね知られており,95%が関心をもっていたと報告している.筆者は,現在臨床現場の理学療法士としての立場にあるが,昨年度まで理学療法士養成校の教員として勤務していた.教育現場ではOSCEという言葉を耳にしたが,実際には実施していなかった.ただし,「日常生活活動」の科目を担当して,患者への日常生活動作の指導法や介助法を実技試験として行っていた.現在,臨床現場にて複数の養成校から臨床実習を受けるようになり,実習生を受け入れる側として,臨床実習に出る前の臨床能力育成の重要性を再認識している.
そこで本稿は,一般的に養成校で行われている従来からの実技試験を「従来型実技試験」と記して,講座のテーマであるOSCEと対比させ,理学療法学教育においてOSCEが注目されている背景,「従来型実技試験」とOSCEの特徴およびそれぞれの利用法について述べる.
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