入門講座 ICFに基づく評価と記録・3
リハビリテーション総合実施計画書の書き方と活用,そして現状
諸橋 勇
1
Morohashi Isamu
1
1いわてリハビリテーションセンター
pp.989-998
発行日 2005年11月1日
Published Date 2005/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551100205
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はじめに
現在のリハビリテーション(以下,リハ)医療は国際障害分類ICIDH(International Classification of Impairments, Disabilities and Handicaps)が中心的なモデル概念だったが,2001年に発表された国際生活機能分類ICF(International Classification of Functioning, Disability and Health)モデルが広まってきたことに象徴されるように,医療や医療経済,介護保険制度という多くの社会的な環境から変化を求められてきている.
確かに今までのリハ医療においては,効果判定の問題,連携や効率の問題,生活障害より機能障害重視への偏重,予後予測が曖昧,不十分なインフォームドコンセント(以下,IC)など多くの問題点が指摘されてきたが具体的な指針はまだほとんど出されていない.そのような中で制度として新設されたのがリハ総合実施計画書の作成であり,この中にはICFの概念が取り入れられている.
リハ総合実施計画書の役割は,各職種が総合的な評価を行い,それに基づいた目標やプログラムを立てること,そしてこれを利用して患者(利用者)とその家族に十分なICを行うことである.しかし,現状は診療報酬算定のために記入しているという側面が強く,その目的を十分果たしていないとの声も聞かれる.
そこで本稿では,リハ総合実施計画書の作成の目的やその活用法に関して現状を踏まえて述べる.
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