連載 アンケート調査の方法入門—市町村老人保健福祉計画策定のために
調査の実施計画の立て方
安武 繁
1,2
,
瀬尾 明彦
3
,
畠 秀治
1
,
吉永 文隆
3
1広島県三次保健所
2広島県可部保健所
3広島大学医学部公衆衛生学教室
pp.728-733
発行日 1992年9月10日
Published Date 1992/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662900563
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はじめに
市町村老人保健福祉計画とニーズ把握
保健・福祉行政の分野においては,地域住民の生活実態や各種サービス需要を把握するために,アンケート調査が実施されることが多い。この際に,調査の目的,調査の実施計画のデザイン,アンケート調査票の作成,データ入力,解析方針の明確化,データ解析などの一連の過程について的確に予定を立てておかないと,せっかく多大な時間と費用を消費し,多くの機関の協力を得てアンケート調査を実施しても,不適切なデータしか得られなかったり,また回収された多くのアンケートを目の前にしてどうやって解析をし,何を導き出せばいいのか,途方にくれてしまう場合もある。特に平成2年6月の老人福祉法などの改正に伴い,市町村は平成5年度に老人保健福祉計画策定が義務づけられたため,市町村の保健福祉担当者は,中高年者の保健・医療・福祉にかかわる生活実態と各種サービス需要の具体的把握のため,地域住民を対象とした大規模なアンケート調査を実施する機会が多いと思う。
著者らは昭和61・62年に,広島県の高齢者の保健・医療・福祉システムの構築のための基礎資料を得る目的で,広島県の農山間部(庄原市・比婆郡)および都市部(海田町・府中町)において,65歳以上の高齢者を対象に,保健・医療・福祉の実態ならびにサービス需要に関するアンケート調査を実施し,両地区における保健・医療・福祉サービスの供給と需要の実数を把握した1-3)。
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