入門講座 ICFに基づく評価と記録・2
ICFに基づく評価の進め方と記録
宮崎 哲哉
1
Miyazaki Tetsuya
1
1聖隷三方原病院
pp.891-897
発行日 2005年10月1日
Published Date 2005/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551100187
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はじめに―ICIDHからICFへ
1980年にWHO(世界保健機関)が「国際障害分類試案」(ICIDH:international classification of impairments, disabilities and handicaps)を作製・出版して以来,その概念はリハビリテーションの世界において広く普及し,障害の理解も深めることとなった.しかしその単一方向的な概念は様々な面で批判的意見を受けるようになり,2001年5月に,「生活機能・障害・健康の国際分類」(ICF:international classification functioning, disability and health)1)が承認されるに至った.しかし本当にICIDHによる障害の捉え方と,ICFによる考え方の間において大きな変化があったのであろうか.われわれはICIDHを用いながらも,単一方向的にのみ障害を分析してきたわけではなく,すでに双方向の影響性を考慮した形へとICIDHの概念を発展させ,評価・治療に取り組んできた(図1).ただし医学的モデルを出発点として社会モデルを指向していたICIDHにおいては,自ずと限界が見えていたのも事実である2).ICIDHの限界点を補充する最終発展型として捉えれば,ICFは理解しやすい.本稿ではそのような視点において,ICFに基づく評価の考え方と記録に関し,臨床上どのように考えるべきかについて述べる.
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