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ICFに基づく評価システム
国際生活機能分類(International Classification of Functioning, Disability and Health;ICF)は世界保健機関(World Health Organization;WHO)の国際疾病分類(International Classification of Diseases;ICD)と対をなす障害分類の枠組みとして,2001年にWHO総会において採択された1).ICFは生活機能にかかわる多岐にわたる評価項目により構成され,生活機能にかかわる領域を網羅的にカバーしている.分類は全部で1,400項目以上の項目からなっており,心身機能,身体構造,活動と参加,環境因子の項目がある.さらにそれぞれの項目における問題の有無と程度を詳細にコード化する仕組みも用意されており,これらを用いることにより対象者の生活機能の詳細について共通の形式で記載をし,対象者の生活機能の包括的な評価を行うことが可能となっている.これまで,導入に向けた取り組みが各国で進められ,日本においてもICFを用いた多くの臨床研究が行われ,教育にも取り入れられてきた.
しかし,臨床への普及にはまだ課題があるのも事実である.例えば,ICFは第4レベル項目までを含めると上述のように1,400以上の項目が存在するが,当然のことながら一人一人の患者を対象にすべての項目を評価することは不可能である.また評価項目を絞るとしても評価項目を選定するだけでも分類全般についての知識が必要であり,簡単には行えない.また,ICFの各項目には詳細にわたる定義文が用意されているが,臨床で使用するうえでは直感的に理解しにくいものも散見される.例えば,心身機能項目であるb「活力と欲動の機能」の定義文は,「個別的なニーズと全体的な目標を首尾一貫して達成させるような,生理的および心理的機序としての全般的精神機能」となっているが,項目名が臨床家には馴染みがないものであるのに加え,定義文もやや難解であり,直感的とは言いがたいものとなっている.さらに上述のように障害の程度などを記載することができるコード化の仕組みが用意されているが,公式のガイドラインではシンプルなコード化の基準〔評点1:軽度の問題(5〜24%),評点2:中等度の問題(25〜49%)など〕が提示されているものの,%表示の解釈の仕方についても明確な記載はない.採点基準が明記された臨床スケールの使用に慣れている臨床家にとっては馴染みにくい仕組みであるかもしれない.
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