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はじめに
2001年5月に世界保健機関(WHO)が,国際生活機能分類(ICF:International Classification of Functioning, Disability and Health)を発表して4年余りが経過した.この間,様々な機関の働きかけにより,理学療法士をはじめとするリハビリテーションに携わる専門職のみならず,保健・医療・福祉に寄与する多くの専門職の間にもICFの考え方は確実に広まっているものと思われる.
言うまでもなくICFは,1980年から続いた障害の分類法である国際障害分類(ICIDH:International Classification of Impairments, Disabilities and Handicaps)と異なり,「生活機能(functioning)」という新たな視点で対象者を捉えるという画期的な考え方である.しかし,ICFは副題で「国際障害分類改訂版」とされているように,生活機能という視点だけではなく,機能障害,活動制限,参加制約に表される「障害」の分類法でもある.そういった意味で,障害の構造を理解するうえでICFはICIDHから続く連続性のあるモデルであると言えるが,専門職の間で障害の共通理解はどの程度得られているのであろうか.保健・医療・福祉をめぐる今後の様々な制度改革の中で,「障害」は重要なキーワードの1つであり,障害を再考し,専門職種間で共通の概念を持つことが不可欠であると思われる.
本稿ではICFがどのように用いられ,その結果いかなる課題があるのかについて述べることにより,リハビリテーションに携わる理学療法士が正しくICFを理解し,ICFの考え方を他職種に伝え,これからのチームケアの構築に資するものとする.
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