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米国ボストンで開催された米国理学療法学会(PT2005)にて発表し,ボストン近郊の病院における心不全運動療法プログラムと,クリントン前大統領が手術を受けたニューヨーク・コロンビア大学医療センター胸部外科の理学療法部門を見学して帰国した翌日,私は金沢駅前に立っていた.日本リハビリテーション医学会員として,初めての学会参加である.米国理学療法学会では,Genomics in PT:Clinical Application, Future Promises and Ethical Considerationsといった3時間のフォーラムが開催され,遺伝子も視野に入れた次の時代における基礎科学に基づいた理学療法の進歩を予感させた.日本リハビリテーション医学会学術集会で,日本のリハビリテーション医学関係者がどのような先進的課題を有しているのかに私の興味は注がれた.
大会テーマと主要プログラム
第42回日本リハビリテーション医学会学術集会は,石川県金沢市にて2005年6月16日~18日に開催され,そのメインテーマは「リハビリテーション医学の専門性の追及と連携」であり,会長は,立野勝彦先生(金沢大学大学院医学系研究科リハビリテーション科学領域)であった.一般演題の応募数は820であり,盛会であることが窺われた.主会員であるリハビリテーション医学専門医を中心に活発な討論が各会場でなされていた.もちろん理学療法士の姿も散見された.会長講演「リハビリテーション医学の専門性―変遷と障害評価および研究課題―」では,金沢大学医学部附属病院において,20年間で3倍に患者数が増加し,その中で内部疾患の増加が顕著であることを報告された.特に,周術期の呼吸障害,糖尿病,廃用症候群,摂食・嚥下に対するリハビリテーション(以下,リハ)依頼の増加傾向が見られ,疾病構造の変化に対応すべきリハ医療の変化が見られると同時に,リハ治療の専門性およびその効果が問われてきていると述べられた.さらに,リハ治療におけるエビデンスについては,非特異的効果を除いたリハ治療の特異的効果を示すべきであると力説された.この講演は,理学療法士にとっても重要な提言であった.
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