トピックス
NIDDMのミトコンドリアDNA異常
安田 和基
1
1東京大学医学部第三内科
pp.737-738
発行日 1995年8月1日
Published Date 1995/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543902480
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インスリン非依存性糖尿病(noninsulin-dependentdiabetes mellitus;NIDDM)の発症には遺伝要因と環境要因の双方が重要とされる.従来は環境因子,特に過食,肥満,ストレスなどに注目が集まっていたが,遺伝因子が多様で解析困難なこともその理由の1つだった.最近,日本人のNIDDMの少なくとも約1%について,ミトコンドリアDNA(mtDNA)異常が原因であることが明らかになった.
ミトコンドリアは,外膜・内膜という二重の膜で囲まれた細胞内小器官である.さまざまな酵素や膜蛋白が含まれるが,最も重要な機能の1つは,TCA回路およびそれに引き続く酸化的リン酸化により,ATPの形でエネルギー源を産生することである.またこの器官は,核内の染色体とは独立に,環状二本鎖のDNAを持ち(mtDNA),そこにtRNA,rRNAのほか,電子伝達系の酵素のサブユニットのいくつかがコードされている.つまり,ミトコンドリアの機能の一部はmtDNAに依存している.
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