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要約
加齢に伴う退行性病変にミトコンドリアのエネルギー産生低下が重要な役割を演じていることが明らかになってきた。これに加えて,ミトコンドリア異常によって引き起こされる細胞障害の原因としてラジカル産生の増加が考えられる。異常な電子伝達系から酸素ラジカルが漏出し,これがミトコンドリア内膜の直下にあるミトコンドリア遺伝子を攻撃し,この酸化的DNA損傷が新たなミトコンドリア遺伝子の欠失あるいは点変異の蓄積を生じさせる。これによって電子伝達系の分子構築の異常がさらに高度になり,結果的に酸素ラジカル漏出の増加をもたらし,細胞構成成分の変性を促進する。こうした悪循環は,とくに神経系および骨格筋・心筋など,新しい細胞によって置き換えられることがない臓器(分裂終了細胞からなる組織)に選択的でかつ進行性の障害を与える。この悪循環はミトコンドリア異常症の病態のみならず,老化の過程にも関与しているものと考えられる。加齢に伴う循環器および神経系の変化と,ミトコンドリア遺伝子の変異の蓄積との間の関連について最近の知見を紹介する。
Mitochondria provide a major part of energy that are required for various cellular activities. Oxy-gen molecules are used as the final acceptor of electrons derived from organic compounds, and therefore mitochondria are the major source of oxygen free radicals within cells. Mitochondrial DNA (mtDNA) encodes 13 mRNA genes for subunits that form the backbone of the mitochondrial energy-transducing system and two rRNA and 22 tRNA genes that are required for the synthesis of these subunits.
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