増刊号 臨床化学実践マニュアル
話題
2.生理活性物質
FSH投与に伴う検査データの変化
田坂 慶一
1
1大阪大学医学部産科学婦人科学
pp.333
発行日 1993年4月15日
Published Date 1993/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543901561
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排卵誘発法としてのゴナドトロピン療法が初めて臨床応用されてからすでに20年以上の歳月が過ぎ,その無排卵症治療における臨床的有用性が実証されてきた.しかしその反面,多胎妊娠や卵巣過剰刺激症候群の発生がなお避けがたい副作用として残っている.これらの副作用の一部はhMG製剤そのものに問題があるために起こっていると考える臨床家も多い.そこで最近,従来のhMG製剤(FSH/LH比約1:1)に対して,LH活性のほとんどないFSH製剤が開発され,臨床応用が始まった.Serono社とOrganon社のFSH製剤である.Serono社のFSH製剤は純化されたものであり,すでに多数の報告がみられる.一方,Organon社のものはrecombinant FSH(rFSH)である.Serono社のFSH使用報告では75〜150IU/l投与で84%の排卵誘発効果が報告されている.また多胎および卵巣過剰刺激症候群の頻度は従来のhMG製剤より少ないとされている.一方,rFSH製剤を使った報告はまだ多くない.参考までにゴナドトロピン欠損症症例にOrganon社のrFSH 75〜150IU投与したときの血中FSH,LH,E2変動を図1,2に示しておく.
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