けんさアラカルト
ミトコンドリア染色と肝疾患
海上 雅光
1
1虎の門病院病理部
pp.142
発行日 1992年2月1日
Published Date 1992/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543900950
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Bianchiらの報告1)以来,光学顕微鏡で認められるgiant mitochondria(光顕的GM)は,そのまま電子顕微鏡的にも巨大なミトコンドリアに相当するものとされ,現在に至っている.教科書的にも,特殊染色を施すことによって光学顕微鏡的にGMが認識されると記載されている2).しかしInagakiら3)はこれに対して,光顕的GMは電子顕微鏡的にはミトコンドリアではなく,crystalloid bodyであると報告し,ここに至ってその異同が問題となってきた.したがって本稿では,タイトルにある「ミトコンドリア染色」とは「いわゆる光顕的GMを同定するのに用いられる特殊染色」としての意味であることを断っておきたい.光顕的GMはHE染色でも判別可能であるがかなり見にくく,他の物質との鑑別が難しい.したがって,次に述べる種々の特殊染色によって同定されることが多い.染色法としては,Masson Trichrome染色(MT染色,写真1),Chromotrope aniline blue染色(CAB染色,写真2)4),Azan染色,Luxol fast blue染色,PTAH染色,Altmann染色2),などが挙げられる.いずれも染め上がりが良好であれば,光顕的GMは円形,楕円形,葉巻型,などの形で明瞭に認められる.肝組織のルチン染色法の1つとして使用されるときは,その他の情報量も多いMT染色,CAB染色などが推奨される.
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