増刊号 血液・尿以外の体液検査法
資料
体液への抗菌薬の移行
平泻 洋一
1
,
山口 惠三
2
1長崎大学医学部附属病院検査部
2東邦大学医学部微生物学教室
pp.903-907
発行日 1990年5月15日
Published Date 1990/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543900275
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はじめに
細菌感染症患者に対して抗菌薬の投与を行う際,必ずしも適切な薬剤の選択がなされていないことも少なくない.選択に際して考慮すべき点は非常に多く(表9),最小発育阻止濃度(MIC)などのin vitroのデータが,臨床上の効果としばしば合致しないのは周知の事実で,その原因として考えられる項目を表10に示した1).
特に抗菌薬の病巣への移行性は,その臨床上の効果に多大な影響を与える因子であるにもかかわらず,見落とされていることが少なくない.起炎菌に対して強い抗菌力を有する抗菌薬を投与した場合でも,感染病巣における濃度が低ければ当然その効果は期待できない.
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