書評
高齢不妊診療ハンドブック
久保 春海
1
1東邦大
pp.616
発行日 2020年6月1日
Published Date 2020/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543208028
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加齢不妊に対してはARTと統合医療の併用が重要
2019年10月に医学書院から森本義晴(IVF JAPAN),太田邦明(福島県立医大)両先生の編集により『高齢不妊診療ハンドブック』が上梓されました.この本の帯にある「多くの不妊診療専門医が苦慮している高齢不妊患者さんに対してどのように治療していますか?」という問い掛けに対して,最新の治療方法として,検査,生殖補助医療技術(ART)手技から統合医療的アプローチまでを含め,高齢不妊患者さんを妊娠へと導くための秘訣をわが国の一流の専門医が伝授することを目的とした成書であります.体外受精・胚移植(IVF-ET)のパイオニアのひとりであるPatrick Steptoeが,世界初のIVFベビーを誕生させた直後の1978年に米国のカリフォルニア大サンフランシスコ校(UCSF)を訪れた時の講演会で,「IVF-ETによる加齢不妊治療は可能ですか?」という私の質問に対して,「IVF-ETは卵管因子による絶対不妊に対してのみ使用すべきものである」と答えられました.これは今から40年以上前のことですが,今やわが国では結婚,出産年齢の高齢化に伴い加齢不妊はART症例の半数以上を占める大きな命題になっています.
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