今月の臨床 エイジングと生殖医療
高齢不妊女性治療の工夫
朝倉 寛之
1
1扇町レディースクリニック
pp.1384-1387
発行日 2006年11月10日
Published Date 2006/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409101311
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わが国の母体高齢化傾向
日本社会での女性の社会進出とともに晩婚化が進み,1973年以降,出生数,出生率の減少が続き,2004年の平均第一子出生年齢は28.5歳となった1).1980年以降,総出生率は減少し続けるが,35歳以上の高齢出産数はその実数および割合ともに増加傾向が続き,2004年においては,35歳以上の高齢妊娠は全妊娠の15.2%を占め(1970年は4.7%),特に35~39歳が13.5%,40~44歳が1.7%となった(1970年には,それぞれ4.2%,0.5%)1).あるコンピュータモデルでは,30歳から35歳への妊娠延期による自然妊娠力の約50%をARTは補償できるが,35歳から40歳への延期では約30%しか補償できないとされる2).よって,第二次ベビーブーム世代が30歳代後半を迎える現在,挙児希望にて不妊症治療施設を受診する患者層が増し,特に不妊症治療施設を受診する卵巣機能がすでに低下した患者の割合も増加すると予想される.当院では,すでにART実施患者のうち,35歳以上が全体の3分の2,40歳以上が3分の1によって構成されるに至っている.
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