書評
—内科医に役立つ!—誰も教えてくれなかった尿検査のアドバンス活用術
清田 雅智
1
1飯塚病院総合診療科
pp.658
発行日 2020年6月1日
Published Date 2020/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543208031
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救急医や研修医が尿検査を学ぶバイブル
今日ほとんどの大病院では中央検査室が標準的に整備され,医師自ら検体検査を行うことはほぼ皆無になっている.検体検査の中では採血を行うことが主流で,多くの疾患は血液検査から分析され診断されていくことが多い.検尿という地味な検査は,腎臓内科医や泌尿器科医を除くとこだわりを持ってオーダーをすることは少ないのではないか.しかし,採血と異なり検査の侵襲は少ないメリットがあり,深く診ていくと意外な気付きもあり,今日でも有用な武器であることには違いない.
内科医として日常臨床でよく使用するのは,「第9章 尿路感染の起因菌は何か?」における尿中白血球,亜硝酸塩,pHの判断であろう.腎臓の大家Burton D. Roseも他書にて尿のpHの尿路感染での重要性を指摘しているが,きちんとした解釈がここに書かれている.また,「第17章 低ナトリウム血症をみたら尿をみろ」というのは確かにその通りで,ナトリウムに加えて尿酸を解釈することが重要であり,これを血液検査だけで診断するというのはあり得ない話だろう.低ナトリウムの解釈は,学生時代にはあまり教わらず研修医になり臨床現場で学ぶものの一つであり,ここに書かれている内容を読めば,マニュアルの背景がわかることだろう.同様に「第18章 低カリウム血症をみたら尿をみろ」も重要で,低カリウム血症の解釈では尿中Kの排泄を評価するために,K/Cr,TTKG,FEKなどの難解な解釈をHalperinの文献も用いて明確に論じている.
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