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増刊号 血液形態アトラス
Ⅱ部 造血器腫瘍以外
10章 血小板系
5 Bernard-Soulier症候群
Bernard-Soulier syndrome
金子 誠
1
1東京大学医学部附属病院検査部
pp.1078-1079
発行日 2015年9月15日
Published Date 2015/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543206221
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BSS(Bernard Soulier syndrome)は,血小板および巨核球上に発現している受容体のひとつである血小板膜糖蛋白質(glycoprotein:GP)Ⅰb-Ⅸ-Ⅴ複合体の遺伝子変異が原因で,GPⅠb-Ⅸ-Ⅴ複合体欠損や機能異常により発症する常染色体劣性形式の先天性血小板機能異常症である.本疾患の有病率は,1,000,000分の1未満と推定されている.
臨床症状には,血小板機能異常症による点状出血や粘膜出血などのいわゆる表在性の出血症状があり,幼児期の出血傾向によって気付かれることが多い.
特徴的な検査所見としては,巨大血小板性の血小板減少症を呈する(→図1).診断には,GPⅠb-Ⅸ-Ⅴ複合体欠損を証明することが必要で,血中VWF(von Willebrand Factor)は正常にもかかわらず,血小板凝集能検査(透過光法)にてリストセチン凝集が欠如すること(→図2),また血小板のフローサイトメトリー分析により,GPⅠb-Ⅸ-Ⅴ複合体の発現低下していることなどで確認する.
皮膚粘膜の小出血に対しては局所圧迫が基本であるが,重篤な出血や止血困難時,外科的処置の場合には血小板輸血を行うことが唯一の治療法である.
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