書評
—Bernard, H. Smith 著・池田 久男 訳—頸部脊椎症とその神経合併症
椿 忠雄
1
1新潟大学神経内科
pp.1223
発行日 1972年9月1日
Published Date 1972/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406203193
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一口にいつて待望久しい本に接した感じである。頸部脊推症はわれわれ神経内科医が接する機会のある最も多い疾患の一つであるが,主に整形外科医の取り扱う疾患という印象が強く,神経内科医が自分の立場でこれをとらえ,詳しく記載したものがなかつた。筆者は従来からこれを物足りなく思つていたが,本書はまさにこの要望に応えたものである。
本書の性格を最もよくあらわすのは,訳者の序にもある通り,「本書の特徴は,原著者が神経科医であり,頸椎とそれに関連した神経系や循環系の機能解剖学の解説が詳細かつ明確で,その基礎知識の上に神経症状の発現機序や臨床像の特徴がよく整理解説されていること,また本疾患に対する各種治療法の効果について慎重な評価がなされていることである。今一つの特徴は豊富なレントゲン写真が説明と共に使用されていることである」の言葉に尽きよう。
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