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増刊号 血液形態アトラス
Ⅱ部 造血器腫瘍以外
10章 血小板系
6 EDTA依存性偽性血小板減少症
EDTA-dependent pseudothrombocytopenia
矢冨 裕
1
1東京大学医学部附属病院検査部
pp.1080-1081
発行日 2015年9月15日
Published Date 2015/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543206222
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EDTA(ethylenediaminetetraacetic acid)依存性偽性血小板減少症は,血球数算定用の採血管に含まれている抗凝固剤EDTA塩の存在下で抗体依存性に血小板凝集が起きる現象であり,血小板数偽低値を呈する代表である.出現頻度は約0.1%程度と考えられており,種々の基礎疾患を有する患者のみならず,健康人にも起きうる.純粋に試験管の中における反応である.EDTAが存在しない生体内では,他に疾患がなければ,本症では血小板数は正常であり,出血傾向もない.本症を疑うことができれば,顕微鏡による血液像の観察などですぐに判別が可能である.診療医は,症状に合わない(つまり,出血傾向がないのに)血小板減少を認めた場合に,まず,本症を疑うことが重要である.本症は治療不要であり,不必要な治療を避けるうえでも,これを見逃すことは許されない.
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