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増刊号 血液形態アトラス
Ⅱ部 造血器腫瘍以外
10章 血小板系
4 May-Hegglin異常
May-Hegglin anomaly
金子 誠
1
1東京大学医学部附属病院検査部
pp.1076-1077
発行日 2015年9月15日
Published Date 2015/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543206220
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May-Hegglin異常は,巨大血小板,血小板減少症,顆粒球封入体(デーレ様小体)(→図1)を特徴とする常染色体優性遺伝性疾患である.非骨格筋ミオシン重鎖ⅡAをコードするMYH9遺伝子異常が原因である場合に,本疾患群と診断される.May-Hegglin異常は,いわゆるMYH9異常症に包含される1病型であり,Alport症状を合併する類縁疾患(Sebastian症候群,Fechtner症候群,Epstein症候群)もMYH9遺伝子異常に起因することが明らかとなっている.
血小板異常は,巨核球からの胞体突起形成がMYH9異常により損なわれ,十分に分化成熟する前に血小板が放出されてしまうために生じる.また,顆粒球封入体に関しては,正常では細胞質全体にびまん性に存在する非骨格筋ミオシン重鎖ⅡA蛋白(→図2)が異常凝集する(→図3)ことが知られている.
出血傾向は血小板数に関連して発症し,軽度の粘膜出血や点状出血など表層性の出血を認めることもあるが,無症状のことが多い.完全な臨床像を有する場合には診断が容易であるが,症状が不完全である場合には診断は困難である.
治療は対症療法であり,出血には治療を必要としないことが多いが,出血症状や観血的処置に応じて血小板輸血を考慮する.
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