書評
—Bernard F. Fetter・Gordon N. Klintworth・Wilson S. Hendry 著—Mycoses of the Central Nervous System
関野 宏明
1
1東大脳神経外科
pp.700
発行日 1968年7月1日
Published Date 1968/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406202402
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最近,真菌症が,中枢神経系のみでなく,他の分野においても,しばしば,問題となっているようである。これは,一方では,臨床家,病理学者あるいは,細菌学者の間での認識が新たになり,注意が向けられるようになつたこと,他方では,副腎皮質系の薬剤や,抗生物質がしばしば,しかも大量に使われるようになり,Hostの側の真菌に対する防衛機構に一時的であるにしろ変化がおこり,実際に真菌感染の機会が増加したためと思われる。
このMonographは中枢神経系の真菌症のみを取り扱つた数少ないものの一つである。中枢神経系の真菌症については,神経学あるいは内科学の書物でも,十分な記載はなされておらず,他方,細菌学,真菌学あるいは,真菌症を取り扱つた書物でも中枢神経系のことになるとその扱いはきわめて少ない。著者らが冒頭に述べている如く,こうした間隙を埋めるべく書かれたこのMonog—raphは,きわめてuniqueなものであり,かつ貴重なものといえよう。
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