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増刊号 血液形態アトラス
Ⅰ部 造血器悪性腫瘍
2章 骨髄増殖性腫瘍(MPN)
3 本態性血小板血症(ET)
Essential thrombocythemia(ET)
矢冨 裕
1
1東京大学医学部附属病院検査部
pp.920-921
発行日 2015年9月15日
Published Date 2015/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543206162
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本態性血小板血症は骨髄増殖性腫瘍のひとつであり,造血幹細胞レベルの異常から主に血小板が著しく増加するものである1).原発性血小板血症とも呼ばれる.骨髄において巨核球が,末梢血中においては血小板がそれぞれ著増し,血小板数が100万/μLを超えることも多い.白血球や赤血球も増加していることが多いが,血小板の増加ほど顕著ではない.造血幹細胞レベルでの遺伝子の後天的な変異によるものと考えられており,およそ半数の患者でヤヌスキナーゼ2(janus kinase 2:JAK2)V617F変異遺伝子が検出される.急性白血病や骨髄線維症に転化することはまれであり,生命予後はむしろ血栓止血関連の合併に規定されることが多い.治療では,抗血小板薬としてアスピリンを使用する.60歳を超えている,血栓症の既往がある,血小板が著増している(150万/μL以上)高リスク群では骨髄抑制療法を行い,現時点ではヒドロキシカルバミドが最も使用されている3).
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