今月の主題 慢性骨髄増殖症候群
真性多血症など
本態性血小板血病
中山 志郎
1
1神戸市立中央市民病院免疫血液内科
pp.1152-1153
発行日 1978年8月10日
Published Date 1978/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402207988
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はじめに
基礎疾患がなく,持続的に血小板増加があるにもかかわらず易出血性を伴う疾患を,Epsteinらがhemorrhagic thrombocythemiaと報告して以来,primary, essential, idiopathic thrombocythemiaなどさまざまな名称で発表されてきたが,比較的稀とされる疾患である.
本症は白血球系における白血病,赤血球系における赤血病のように,血小板系の非可逆性びまん性増殖により,末梢血中の血小板,ときに骨髄巨核球が増加し,骨髄では骨髄巨核球が無制限に増加する.Dameshekは血小板系の腫瘍性疾患を急性型と慢性型に分類し,前者がacute megakaryocytic leukemiaに,後者がchronic thrombocythemia,すなわち本症に該当すると考えている.本症はいわゆる骨髄増殖性疾患の一つに属するとみなされ,真性赤血球増多症,慢性骨髄性白血病,骨髄線維症などにきわめてよく似た病像を呈するが,一方,本症からこれらの疾患に移行した症例も報告されている.これらのことから本症の独立性に疑義をいだく学者も少なくなく,Gunzは骨髄増殖性疾患の一時相にすぎないと考えている.
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