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増刊号 血液形態アトラス
Ⅰ部 造血器悪性腫瘍
2章 骨髄増殖性腫瘍(MPN)
4 原発性骨髄線維症(PMF)
Primary myelofibrosis(PMF)
丸尾 理恵
1
1東京大学医学部附属病院検査部
pp.922-923
発行日 2015年9月15日
Published Date 2015/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543206163
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原発性骨髄線維症(primary myelofibrosis:PMF)は1879年にHeuckらにより初めて報告された疾患で6),骨髄において主に巨核球と顆粒球系細胞が増加するMPN(myeloproliferative neoplasms)である.進行すると骨髄の線維化や脾腫,白赤芽球症(leukoerythroblastosis),髄外造血が認められる.AML(acute myeloid leukemia)への急性転化が5〜30%に認められる1〜3).PMFの診断基準を→表11)に示す.PMFでみられる3血球系統の増殖はモノクローナルなもので,幹細胞の異常によると考えられている.約半数の症例にJAK2遺伝子変異(V617F),約5%の症例にMPL遺伝子変異(W 515L/K)がみられ,PMFの発症や病気の進展に大きく関わっている可能性がある.
診断時,約20〜30%の患者は無症状であり健診や他疾患で医療機関を受診した際に,貧血や脾腫,白赤芽球症,LD(lactate dehydrogenase)の上昇などを指摘され,偶然発見される.髄外造血によって脾腫が約90%にみられ,しばしば巨脾となる.肝腫大も約50%に認められる.その他,全身倦怠感,呼吸困難,体重減少,夜間盗汗,微熱,出血傾向などの全身症状を伴うことがある.
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