免疫化学検査法 Ⅱ 測定法の実際
2・腫瘍マーカー
②AFP
遠藤 康夫
1
1東京大学医学部第一内科
pp.677-679
発行日 1988年6月15日
Published Date 1988/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543204562
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
α-フェトプロテイン(AFP)は分子量が約70,000の糖蛋白で,約4%の糖を含んでいる.森永ら1)によると,AFPは590個のアミノ酸から成り,N末端から232番目のアミノ酸(アスパラギン)の位置に1本のアスパラギン糖鎖を有している.
AFPの産生は生理的には,胎生期にヨークザックおよび胎児肝で行われている.そのほか,わずかであるか胎児消化管でも行われている.出生後はAFP産生は停止しているが,病的状態で再び産生が開始され血中に増加してくるようになる.その代表的な疾患がヨークザック腫瘍と肝細胞癌であり,ほかに胃癌,膵癌(特に肝転移例)の際もまれではあるが血中AFP高値の例がみられる.良性疾患では,肝炎,肝硬変の際に軽度血中AFP増加のみられることがあるが,著しい増加は一般にみられない.ほかに胆道閉鎖症,チロジン血症などの先天性疾患の場合にも血中AFPは増加する.
Copyright © 1988, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.