免疫化学検査法 Ⅱ 測定法の実際
2・腫瘍マーカー
①腫瘍の免疫学的診断
河合 忠
1
1自治医科大学臨床病理学講座
pp.673-676
発行日 1988年6月15日
Published Date 1988/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543204561
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癌診断へのアプローチ
ある病巣が癌であるか否かを診断する場合,多くは病理組織学的所見によらなければならない.しかし,つねに病理組織学的に癌と診断しうるとは限らない.病巣が生検によって適切に採取しえない場合もあるし,また,たとえ病巣が採取しえても,癌と紛らわしい良性病変と鑑別することが病理組織学的に困難な場合もある.
しかし,癌ほど早期診断(再発も含めて)が重要な意味をもっている疾患はない,それゆえ,古くから尿や血液を使って癌を早期に診断しようとする努力がなされてきた.しかし,現在のところ,癌に特異的な生化学的・免疫学的検査が実用化されていないし,ある一つの癌をとってみても100パーセント診断しうる検査はない.しかし,近年,さまざまな測定法,とりわけ免疫測定法の進歩によって,かなり臨床的に役だつものが開発されている.
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