免疫化学検査法 Ⅱ 測定法の実際
2・腫瘍マーカー
③CEA
藤野 雅之
1
,
内藤 勝人
2
1山梨医科大学第一内科
2山梨医科大学附属病院検査部
pp.680-683
発行日 1988年6月15日
Published Date 1988/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543204563
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はじめに
癌胎児性抗原(carcinoembryonic antigen;CEA)は1965年Goldら1)によりヒト結腸癌組織の抽出液中から発見され,ヒトの消化器癌と胎児消化管に共通して特異的な抗原物質(癌胎児性抗原)として報告された.その後,消化器以外の癌や一部の良性疾患でも血中に増量すること,さらには健常成人組織中にも存在することが明らかとなり,当初期待された消化器癌特異性や早期診断的利用価値は認められなくなった.しかし,多くの悪性疾患で血中値は著しく増加し,また外科手術の経過観察や再発の発見および各種治療効果の判定などにおける臨床的有用性はその評価が定着しており,CEAは現在もっとも重要な腫瘍関連マーカーの一つであるといえる.
一方,CEAの定量法としてはThomsonら2)によりラジオイムノアッセイ(RIA)が,Hammarströmら3)によりエンザイムイムノアッセイ(EIA)が開発され,最近ではモノクローナル抗体を使用した測定キットも開発されている.ただし,現状においては,測定法により得られる値が異なりそれらの測定値間に互換性がないことなど,測定系にかかわる問題点も存在する.しかし,CEAの抗原構造も細部にわたり徐々に解明されつつあり,CEA特異モノクローナル抗体を用いた測定系の開発に加えて,EIAの全自動分析装置やラテックス凝集反応を応用した測定法は急速に進展しつつある.
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