技術講座 血清
発作性夜間血色素尿症とHam試験およびHartmann(ショ糖溶血)試験
尾形 正裕
1
,
阿部 和夫
2
1福島県立医科大学病院中央臨床検査部
2福島県立医科大学中央臨床検査部
pp.971-976
発行日 1982年11月1日
Published Date 1982/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543202619
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発作性夜間血色素尿症(Paroxysmal noctural hemoglobinuria;以下PNHと略す)は,典型的な症例では特に早朝睡眠からさめた時の尿に溶血による着色(ヘモグロビン尿,ヘモジデリン尿)を認め,比較的まれな後天性溶血性貧血として知られているが,PNHの診断に不可欠なHam試験の確立とショ糖溶血スクリーニング試験の普及などにより,PNHの診断が容易になった.
PNHは赤血球自体の膜構造に異常を有するが,これは後天的に造血幹細胞に異常クローンが出現し,このクローンがPNH特有の補体感受性の高い赤血球を産生し,赤血球膜面で補体の活性化を伴うために血管内で赤血球の崩壊がおこり溶血性貧血を呈するものと考えられている.
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