技術講座 生化学
GOT-mの測定法
亀井 幸子
1
1東大中央検査部
pp.966-970
発行日 1982年11月1日
Published Date 1982/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543202618
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GOTは古くから知られている酵素で,臨床的に応用されるのも早かった.GOTは本来ほとんどすべての組織に含まれているのだが,組織によって含量に差がある.GOTを豊富に含む組織・臓器に病変があるときは病変部からの逸脱によって血清GOTレベルが上昇することが知られていて,肝疾患,心疾患,筋肉疾患などで重要な指標である.ところで1960年ころから,GOTには細胞上清分画中に存在するGOT-sと,ミトコンドリア内に存在するGOT-mの,二種類のアイソエンザイムがあることが知られてきた.両アイソエンザイムとも臓器による差はなく,どの組織にも共通な二種のGOTが存在する.
このGOTアイソエンザイムに着目してみると,図1に示すようにGOT-mはミトコンドリア内に存在し,細胞膜,ミトコンドリア膜と,二重に膜に包まれている.この状態から考えれば,GOT-mの血中への逸脱はミトコンドリアの機能異常や,細胞障害の重篤さを示す指標になるのではないかと注目されている.
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