技術解説
発作性夜間血色素尿症に関する検査
阿部 和夫
1
1東北大学・中央検査部
pp.717-725
発行日 1977年7月15日
Published Date 1977/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542914408
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Paroxysmale haemoglobinurieとして1882年Strubing,P.の記載より,発作性夜間血色素尿症(PNH)は,典型的な症例では就寝時血管内溶血の形をとり,夜間あるいは早朝にヘモグロビン尿が強く,午後にかけて減じる特徴を持つ比較的まれな疾患として知られているが,慢性の血管内溶血,pancytopenia,鉄欠乏,あるいは繰り返して起こる小血栓などの型で表現されるものもあり,少なからぬ症例が見逃されていると考えられている.PNH赤血球は骨髄precursor cellsの異常なclone1,2)から生成され,末梢血中よりも骨髄中に,より異常な細胞が多く,末梢血中においても網赤血球中3〜5)にはより溶血を示す細胞が多い.これらPNH赤血球は,補体感受性が強く,より感度の高い赤血球は,正常赤血球の溶血に必要な補体量の1/20量で溶血し,比較的補体感度の低いPNH赤血球は健常人のそれの1/7量で溶血する6)ことが知られている.
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