トピックス
癌の生化学的診断法
井川 幸雄
1
1東京慈恵会医科大学
pp.785
発行日 1980年9月1日
Published Date 1980/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543202134
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CTスキャンの登場により,ある程度以上大きな悪性腫瘍および転移巣が美しい画像として提供されるようになった.しかし,治療上からは,このような時期に至る前の早期発見が望まれていることはいうまでもない.一方生化学的には,胎児性蛋白,酵素及びアイソエンザイム,異所性ホルモン産生などを腫瘍が産生すれば,これをルーチンの検査で検出することは比較的容易になった.
以上のうちで最近話題になったり,中検の立場で考えてみたことを少しく述べてみたい.胎児性蛋白の面では,α-フェトプロテインについてはすでに評価も確定していて,ここでとりあげることもないと思われる.CEA(carcinoembryonic antigen)は2〜6月齢の胎児の腸・肝臓・膵臓に存在する抗原で,腺癌細胞膜上に存し,生後の正常な細胞膜にはほとんど存在しないことが明らかになった.測定はラジオイムノアッセイのほか,エンザイムイムノアッセイも登場し,北村らによれば精度はきわめて良いという1).CEAには個体差があるが,個人個人についてみれば,狭い範囲にあるので,個人についてフォローできれば癌の早期発見の可能性もあるという.
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