コーヒーブレイク
英会話(その1)
I S.
pp.740
発行日 1980年9月1日
Published Date 1980/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543202122
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日本人の外国語に対する能力,ことに外国語で発表する能力は,驚くほど低いということが,いつでも問題になる,上はサミット会談から下は観光団体のお歴々に至るまでそうである.人のことは言わなくても,私自身もそうである.ところで,その理由はなんなのか,多くの識者の意見を聞いても,心ずしも納得がいかなかったが,先程,ハンガリーに住み,そこの大学を卒業した人の話しを聞いて,なる程と思ったのでそのことを述べたい.ハンガリー語は東洋系の言語で,文法などは日本語に近い位で,ヨーロッパの言葉とは全く違うし単語の共通性も少ない.ところがハンガリー語にひたり切ってマスターしてみると,西欧の言葉がよく分かるようになったというのである.言葉の難しさは文法でもなく,単語でもない.頭に浮かぶ内容だというのである.例えば,ハンガリーの子供もフィンランドの子供も太陽は黄色と考えていて,これは他のヨーロッパの子供と全く同様であるという.太陽は赤いと感じている日本人の日の丸の旗は,日本がまったくヨーロッパとは異なる文化とセンスを持っていることの雄弁な象徴といえる.
朝の挨拶は"よい朝を"であり,感謝の言葉は"あなたに感謝します"である,母親が子供に"机に向かいなさい"というのは,日本では"勉強しなさい"であり,ヨーロッパでは"食事ですよ,食卓につきなさい"を意味する.
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