コーヒーブレイク
不安だった病室出向
O. T.
pp.108
発行日 1979年2月1日
Published Date 1979/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543201776
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今月号の"マスターしよう基本操作"では病室での心電図のとり方が解説されているが,読んでいて実習時代のことが懐しく思い出された.当時,私たち実習生は病室に1人で心電図をとりに行くのはとても不安で,できればescapeしたいと考えていた.このことを知った技師"虎穴に入らずんば虎児を得ず,勇気を出して行ってきない"と言う.この言葉で多くの実習生は小型の心電計を携えて病室に行ったが,中には,"虎児を得なくともいいから行かない"と答えた者がいた.心電図室の技師は男性1名で,忙しい中にも実習生の面倒をよくみてくれた.技師は多分けしからぬ実習生だと思ったことであろう.しかし再度実習生に言った."かわいい子には旅をさせろだ.病室で何か困ったことがあったら,こちらに電話して呼んでもいいから行きなさい".もし私が技師の立場であったら,このような実習生の態度を厳しく戒めたと思う.しかし,技師に戒められてしぶしぶ病室に出向く実習生の姿と,いざというときには助けてもらえるという安心感を持って出向く姿とでは病室での検査業務のうえにも差が出てくるように思える.
病室に行くのがなぜいやだったか.その理由はいろいろある.まず交流を除去するのが困難な場合があること,患者が自身の苦痛のため体をこわばらせたり,動いたりしがちであること,患者の体位が思うように直せない等々.
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