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床の間のある病室
今村 栄一
pp.776-777
発行日 1959年9月1日
Published Date 1959/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541201567
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日本間の病室
近代的の病室というと洋式の病室がすぐ頭に浮かんてくる。われわれの頭の中にある日本間の病室の印象はあまり良いものではない。すりきれた畳の上に患者が寝ていて,そらわきに家族がきゆうくつにたむろしていたりあるいは畳の上に木造のベツトが置かれていたりという終戦後のみじめな光景を忘れることができない。
「健康人はホテルに泊り,病人は病院に泊る」ということが,病院管理のおこりはじめた頃よく言われたものである。ホテルに対するならば洋式の病室ということになる。それでは「健康人は旅館に泊り,病人は病院に泊る」こ言い換えることはできないだろう。ホテルもりつぱになつたが,旅館もすばらしくなつた。しかし病院の日本間は消えて行つた。
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