広がる技師の職場
武田薬品工業株式会社中央研究所薬剤安全性研究所
織田 茂
1
1武田薬品工業(株)中央研究所薬剤安全性研究所
pp.178-179
発行日 1979年2月1日
Published Date 1979/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543201793
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京都—大阪の中間にある高槻市の西方,緑と水に囲まれた山麓に,武田薬品・中研・薬剤安全性研究所がある.ここでは,①実験動物の繁殖・生産ならびに研究,②薬剤安全性に関する試験・研究を行っている.言うまでもなく医薬品は人間の生命,健康に密接にかかわりを持つ製品であるから,その安全性に関する研究は極めて重要である.すなわち,薬として望ましい作用(薬効,効能)と望ましくない作用(副作用,毒性)とを明白にしなければならない.そのために,いろいろな実験動物に薬を与えて多くの実験を行い,詳しいデータをとり,その作用について慎重に検討する.正確な実験結果を得るためには,使用する実験動物の血統,飼育環境などの質的条件が重要な事柄であり,当研究所が都心から離れた場所に建っているのもその理由の一つである.
当所で飼育されている実験動物は,Specific Pathogen Free(SPF),つまり特定の病原体を持たないマウス,ラットのほかに通常のウサギ,モルモット,ハムスター,イヌ,サルなどで,一部の病態動物も含まれており,それぞれ厳しい規制の下で管理されている.SPF動物の条件としては,(1)実験の障害になる病原体グループにフリーであること.(2)定期的に一定方法でSPFであることをチェックすること.(3)帝王切開で取り出された個体の子孫であること.(4)規制された環境で維持されていること.などがあげられている.
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