癒しの環境
病室と笑い
正木 友梨
1
1癒しの環境研究会
pp.997
発行日 2001年11月1日
Published Date 2001/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541903420
- 有料閲覧
- 文献概要
「包み隠さず言いますけど,さっき見たのはがんです」,「先生,内視鏡で見ただけで,そこまでわかるのですか.それで悪性ですか良性ですか?」と言ってから「あっ,今がんやと言われたんやから,悪性や.あほなこと聞いたな」と,心の中でつぶやいたことから始まった入院生活.人とは随分違う経験をしたらしく,執筆の依頼が舞い込んできました.「がん」と言われても「ガーン」とこないし,病室を下見してから個室を予約するしたたかさ(?)でありました.今までの忙しい生活から離れて,ちょうど勉強していた音楽療法を受ける立場で体験できるとか,以前知人のために病室の癒しの環境作りをしたのを,今度は自分のためにできるとかで,だんだん入院するのが楽しみになっていきました.
手術はうまくいき,回復もごく順調.起き上がれない間は,癒しになる音楽だけを選んで聴きながら,真っ白に見える飾り気のない壁にどんな飾りを作ろうかとか,廊下のドアの透明部をどんな風に目隠ししようかと思いを巡らせながら,寝っ放しによる腰痛と闘つていました.
Copyright © 2001, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.