見のがされやすい実務の知識
病室の改造
上林 三郎
1
1聖路加国際病院営繕課
pp.72
発行日 1969年5月1日
Published Date 1969/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541203647
- 有料閲覧
- 文献概要
近代医療の発展は,医療器械の進歩や看護部門の人手不足もあって,病院内に種々の革命をもたらしている.ICU, CCUの設置などもこの表われの1つであろう.このような急速度の近代医療の変化は,病院建物の構造,設備の変更を余儀なくさせている.聖路加病院のように,建築後約40年も経過した建物では,当然種々の増改築を行なって,この変化に対応してきたが,この過程をふり返ってみると,いろいろ反省すべき点が多く,なかなか満足な結果を得られなかったので,今回はこの問題を取り上げてみたいと思う.
最近,私どもの病院では,CCU (心臓救急センター)と人工腎臓治療室を,それぞれ病室の一部を改造して作った.まず計画の初期,担当医師より院長のところへ計画が提出され,この計画が病院活動のために真に必要であるどうかが,各委員会などで検討され,計画の必要性が認められて,はじめて院長から事務長を経て施設面での実施の可能性を検討するように指令が出される.特にCCUの場合は,8床の部屋を3床にしてしまうので,他の部屋でこの5床分を増加することを考えなければならないのが大問題だった.病棟の他の部門への増床は,各部門それぞれ手いっぱいの状態であるため,施設の技術面よりもそのベッドのやりくりのほうがたいへんだった.人工腎臓の場合も,器械の操作がより以上に人手をとるということで,部屋の選定に苦労した.
Copyright © 1969, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.