基礎から応用へ
相転移
戸川 達男
1
1東京医科歯科大医用器材研究所計測機器部門
pp.21-24
発行日 1975年4月1日
Published Date 1975/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543200751
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相転移というと難しいことのように思われるかもしれないが,氷の融解や水の蒸発のような身近な現象である.相(phase)というのは,たとえば水について考えると,化学的には同一のH2Oという物質が,温度や圧力の異なる条件下で,氷,水,水蒸気のように物理的に異なる性質をとることを表す概念で,水の場合3つの相があるという(正確には氷には物理的性質の異なる7種くらいの相があることが知られている).
温度や圧力が変化して,物質の性質すなわち相が変化するのが相転移である.相転移の条件は,物質に固有のものであり,純粋な物質の転移点,たとえば氷の融解点,その沸点などは物理量(この場合温度)の基準値として用いることができる.また逆に,成分が未知の試料の転移点を測定して,成分についての情報を得る方法もある.このように,物質の転移は検査にも深い関連がある.
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