Laboratory Practice 〈輸血〉
輸血用血液製剤および血漿分画製剤使用時のインフォームドコンセントのあり方
牧野 茂義
1
1国家公務員共済組合連合会虎の門病院輸血部
pp.785-789
発行日 2013年9月1日
Published Date 2013/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543104034
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はじめに
輸血療法は,適正に行われた場合には救命に役立つ極めて有効な治療であり,臨床現場で広く行われている.近年の安全対策の推進によって,免疫性および感染性輸血副作用や合併症は著明に減少し,血液製剤の安全性は飛躍的に向上した.しかし,輸血副作用・合併症を根絶することは困難である.輸血による移植片対宿主病(graft-versus-host disease,GVHD),輸血関連急性肺障害(transfusion-related acute lung injury,TRALI),循環負荷による急性肺水腫〔輸血関連循環負荷(transfusion associated circulatory overload,TACO)〕,輸血用血液製剤の細菌汚染による敗血症,さらに肝炎ウイルスやヒト免疫不全ウイルス(human immunodeficiency virus,HIV)感染,ヒトパルボウイルスB19(human parvovirus B19,PVB19)やプリオンの感染などが問題視されている.また,不適合輸血による致死的な溶血反応もまれに発生している1).
血液製剤の有効性および安全性,その他,当該製品の適正使用のためには,必要な項目に関して,患者もしくはその家族に適正かつ十分に説明して理解を得るように努めること,いわゆるインフォームドコンセント(informed consent,IC)が必要である.
本稿では,血液製剤使用時のICの歴史,具体的な説明内容,わが国における実施状況を示し,最後に効果的なICのあり方について述べる.
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