徹底分析シリーズ 血漿分画製剤
血漿分画製剤オーバービュー—臨床現場で活躍する多様な血漿分画製剤
矢田 弘史
1,2
Koji YADA
1,2
1奈良県立医科大学 小児科
2総合周産期母子医療センター
pp.154-160
発行日 2025年2月1日
Published Date 2025/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.134088360320020154
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血液は,血球すなわち赤血球,白血球,血小板などを含む有形成分と,その約90%以上が水分で,タンパク質(7〜8%)と無機物質および有機物質を含む血漿で構成される。このうち,血漿成分は血液の約55%を占める。血漿にはさまざまなタンパク質が含まれ,これらは生体内で,血管内浸透圧の維持や必要な物質の運搬,細菌・ウイルスなどの感染からの防御,出血時の止血凝固など重要な役割を担っている。
血漿分画製剤は,血漿中に含まれるアルブミンやグロブリンなどのタンパク質を臨床上必要な目的に応じて分離・精製して得られる製剤である。貴重な血液を原料にして作られる血漿分画製剤を安全かつ適正に使用するため,さまざまな技術対策と適用ガイドラインの策定および安定供給への取り組みが行われている。
本稿では,血漿分画製剤の適応や安全対策についての最新の動向をふまえ,現代における血漿分画製剤の重要性について考察する。
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