保健行政スコープ
献血血漿と血漿分画製剤
大井田 隆
1
1厚生省大臣官房政策課
pp.663-665
発行日 1991年9月15日
Published Date 1991/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401900431
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●はじめに
わが国の血液事業(血液を集め医療機関へそれを供給するシステム)は,昭和39年の米国のライシャワー大使が輸血後肝炎を発症したことによって,いわゆる“売血”から“献血”へ切り替ることができた.同大使は暴漢に襲われ負傷し,その治療のために輸血を行ったところその血液から肝炎に感染し,当時,大きな国際問題にもなったのであった.そして同年8月には「献血の推進について」の閣議決定がなされ,献血運動が盛り上がり,ようやく昭和49年に全血,成分製剤(血液を赤血球,血小板,血漿などに分けて作ったものを成分製剤という)はすべて国民の献血をもとにした血液事業によって供給するようになった(図).
昭和50年代に入ると図の血漿分画製剤(血漿の中に含まれるタンパク質を分けて製剤にしたもので,大きくはアルブミン,グロブリン,血液凝固因子各製剤になる)が急激に使用されるようになったのである(表).
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