Laboratory Practice 〈診療支援〉
臨床検査のガイドラインJSLM2009を読んでみよう
岡田 正彦
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1新潟大学大学院・医学部予防医療学分野
pp.123-125
発行日 2011年2月1日
Published Date 2011/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543103057
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はじめに
「検査や治療のやり方が病院ごとに違うのはおかしい」という声がマスメディアを通してときどき聞こえてくる.確かにそのとおりで,クリニカルパスやセコンドオピニオン外来,あるいは診断群別包括払い制度(diagnosis-procedure combination,DPC)などは,その期待に応えるための努力だったともいえる.一方,米国などでは,皆保険制度がないために生じた極端な医療格差,あるいは相次ぐ医療訴訟などに対応するため,標準的な医療を文章化しておく必要性もあった.これらさまざまな背景のもとに生まれたものが「診療ガイドライン」である.
わが国でも1990年代に入り,多くの臨床系医学会が相次いで診療ガイドラインを刊行するようになり,今では日常診療に欠かせない存在となっている.日本臨床検査医学会(Japanese Society of Laboratory Medicine,JSLM)は,既に1989年,「日常初期診療における臨床検査の使い方・基本的検査」を刊行し,この分野での先駆けをなしている.
一方,医療の標準化やマニュアル化は,多様性を阻み,新しい技術へのチャレンジを阻害するという側面ももっている.標準化と技術進歩は,常に裏腹な関係にあるといえる.本稿では,日本臨床検査医学会が作成した「臨床検査のガイドラインJSLM2009」(以下,「JSLM2009」)に対する筆者なりの解釈を述べるとともに,問題点,提言などについても言及してみたい.
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