技術講座 一般
腸管寄生原虫ブラストシスチスとその検査法
𠮷川 尚男
1
1奈良女子大学理学部生物科学科
pp.11-17
発行日 2011年1月1日
Published Date 2011/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543103021
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新しい知見
ブラストシスチスは新興・再興感染症の一つに取り上げられており,諸外国,特に発展途上国における感染率は高く,糞便検査材料の半数以上に検出される国も少なくない.ブラストシスチスは健康人からも検出されるが,下痢症や腹痛など消化器症状を示す患者からも検出されることから,病原性について議論されている.最近では,過敏性腸症候群(irritable bowel syndrome,IBS)との関連性についても議論されているだけでなく,人獣共通感染症として重要視されている.さらに,ブラストシスチスに遺伝的多型(9種類のサブタイプ)が知られるようになり,サブタイプと病原性の関連性について検討されている.今後,検査技術の向上に伴って,単にブラストシスチスの有無を調べるだけでなく,どのサブタイプに相当するのかを識別要求される時代が訪れるかもしれない.
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